年金担保融資とは?デメリット・危険性はないのか

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今回は年金担保融資について詳しく解説していきたいと思います。

ニュースやテレビ番組などを見ると、「貧困老人」や「老後資金の蓄え方」など、老後の生活資金についての話題をよく見かけます。

また、老後に安定した生活を送る為には、最低3,000万円程度の貯蓄は必要ともいわれています。

しかし、実際にはそれほど裕福な老後生活を送れている家庭は少なく、実際には生活に困窮するケースも多いようです。

そこで、今回は年金受給者だけが利用できる年金担保融資の利用条件、また一般的なカードローンと年金担保融資が異なる点について詳しくお伝えしていきます。

また、記事の最後にはこの年金担保融資の制度はどのように変わっていくのか?という点についてもご紹介していきたいと思います。

年金担保融資とは?

まず、年金担保融資の概要からお伝えしていきます。

国が定めた融資の方法

年金担保融資とは、簡単に申し上げると「将来もらえる年金を担保にお金を借りる制度」の事を指します。

現在、年金担保融資を利用できるのは、「独立行政法人福祉医療機構」または「日本政策金融公庫」のみとなっており、申込手続きができる金融機関も限られています。

ちなみに、独立行政法人福祉医療機構が取り扱う年金担保貸付事業の場合、対象となる年金は主に以下の通りです。

  • 国民年金や厚生年金保険
  • 労働者災害補償保険の年金

また日本政策金融公庫の場合は、以下の年金が対象になります。

  • 恩給共済年金、災害補償年金
  • 共済年金
  • 厚生年金

また、これらの制度を用いて借り入れた資金は、医療や介護そして生活必需品の購入にも使う事が可能です。

また、日本政策金融公庫が取り扱う年金担保融資の場合は、融資金を事業資金にも使うことができます。

年金担保融資が利用できる金融機関

以上のような年金担保融資ですが、先ほどお伝えした通り、利用できる金融機関が限られているため注意が必要です。

例えば、独立行政法人福祉医療機構が取り扱う年金担保貸付事業の場合は、ゆうちょ銀行や農協さらには労働金庫などの一部金融機関では申し込む事ができません。

以下に、対象となる金融機関の一覧表を掲載していますが、銀行の窓口に「独立行政法人福祉医療機構代理店」と表示された金融機関でのみ取り扱いが可能です。
参考URL:年金担保貸付事業住宅金融機関一覧表

年金担保融資は誰でも利用できる訳ではありません

つぎに、これらの年金担保融資を受けることができる人の「条件」についても見ていきます。

利用できる人の条件

各々の年金担保貸付制度を利用できる人の条件についてですが、下記の一覧表にあるとおり基本的には年金受給者が対象です。ただし、生活保護を受けていたり利用者が反社会勢力であったりする場合は、申し込みが出来ません。

独立行政法人福祉医療機構の利用条件
融資を受ける事が出来る人 以下の年金の支払いを受けている人、またその年金証書を持っている事
・厚生年金保険年金
・国民年金・厚生年金保険年金
・船員保険年金
・労働者災害補償保険年金
融資を受ける事が出来ない人 ・平成26年12月1日以降に借入申込をした人で、任意繰上返済を行い融資決定時の完済予定日に到達していない人。
・生活保護受給中の人
・年金担保融資(労災年金担保融資を含む。)を利用中に生活保護を受給し、生活保護廃止後5年間を経過していない人
・融資金の使途が投機性の高い場合(ギャンブル等)もしくは公序良俗に反する場合、または借入申込者ご本人の利益に明らかに反する場合
・年金の支給が全額停止されている場合
・同一の年金で借入金残高がある場合
・利用者が反社会勢力である場合
日本政策金融公庫の利用条件
融資を受ける事が出来る人 ・恩給や災害補償年金を受けている人
・共済年金や厚生年金(共済組合が支給する厚生年金に限る。)を受けている人
融資を受ける事が出来ない人 ・生活保護受給中の人
・恩給・共済年金担保融資をご利用中に生活保護を受給し、生活保護廃止後5年経過していない

年金担保融資を利用する為の必要書類

次に、年金担保融資を申し込む際に必要な書類についても詳しくご紹介していきます。

なお、ここでは独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資に必要な書類のみお伝えしておきます。

使用用途の証明書類が必要

以下が、独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資の必要書類の一覧です。

一覧表を見る限り、年金に関する様々な書類が必須で、さらに融資されたお金の使い道を証明する書類も必要ですので、手続きが面倒な点がデメリットです。

独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資に必要な書類
借入申込書 取扱金融機関の店舗にあるものを使用
年金証書
現在の年金支給額を証明する書類 年金振込通知書、年金額改定通知書、年金決定通知書等
実印・印鑑証明書 発行後3カ月以内のもの
本人であることを確認できる写真付証明書 運転免許証やパスポートなど(有効期限内のもの)
資金使途の確認資料 見積書、請求書等

年金担保融資は連帯保証人が絶対に必要

また、年金担保融資を受けるためには、基本的に連帯保証人をつけることが必須条件となります。

ただし、連帯保証人を立てることが難しい場合は、信用保証機関による信用保証制度を利用することも可能です。(別途保証料が必要になります。)

連帯保証人の責務とは?

なお、年金担保融資の連帯保証人になった場合で、万一融資を受けた人が借金を返済できない場合は、連帯保証人は代わりに債務を履行しなければいけません。

一般的なカードローンなどの場合は連帯保証人が設定されていないため、借金を背負った人が返済できなくなった場合、任意整理や自己破産というかたちで借金を整理する事が可能です。

しかし、連帯保証人が設定されているような年金担保融資の場合は、借り入れた人が返済不能に陥った場合には、連帯保証人が債務となる借金を肩代わりする必要があります。

連帯保証人になれる人、なれない人

ちなみに、年金担保融資の連帯保証人の条件は公開されていない為不明です。

ただし、基本的には以下の基本的条件はクリアしている必要があります。

  • 返済能力に問題がない事
  • 安定した収入が見込める事
  • 過去に債務整理などをした履歴がない事、金融事故を起こしていない事

また、当然ながら連帯保証人に他社借り入れがある場合などは、その借入額や返済状況も厳しくチェックされますので、その部分の審査項目もクリアしないと連帯保証人になることは出来ません。

気になる年金担保融資の金利と限度額

次に、年金担保融資の金利や限度額など、スペック面も見ていくことにしましょう。

金利と限度額

まず、気になる金利についてです。

最初に独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資の場合についてですが、この融資を受ける場合は年2.8%という低金利で借りる事が出来ます。(※平成30年10月3日現在の金利)

また、労災年金担保融資の場合は「年2.1%」となり、さらに金利が低くなります。

また、限度額は10万円~200万円の範囲内で1万円単位で借りる事が出来ます。

ただし、融資資金の使い道が生活必需物品の購入の場合は、10万円~80万円の範囲内でしか融資を受けることができません。

また、受給している年金の年間支給額の0.8倍が限度となっていますので、年金受給額によっては多額の借入は出来ない事になります。

ちなみに、この年間支給額ですが、年金から所得税を引かれた金額の事を指します。

一方、日本政策金融公庫の年金担保融資の場合です。

こちらの年金担保融資の場合は、恩給や災害補償年金を受けている人のケースでは「金利が年0.36%」となります。

また融資限度額は250万円以内で、担保とする年金の年額の3年分以内になることが条件となります。

また、共済年金や厚生年金を受けている人の場合の金利は「年1.71%」です。

また、この場合の融資限度額は250万円迄となります。(ただし、担保とする年金の年額の1.8年以内分に収まる事が条件)

ちなみに、年金担保融資の限度額については以下のシュミレーションサイトから算出することが可能です。
参考URL:年金担保融資限度額計算シミュレーション

年金担保融資の申し込みから借り入れまでの流れ

次に、年金担保融資の申し込み方法についてや、手続きの流れなどについても解説していきます

まず独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資の場合は、先ほどご紹介した取扱金融機関の窓口に行くことが必要になります。

また日本政策金融公庫の場合は、最寄りの支店に問い合わせされることをお勧めします。

参考までに、日本政策金融公庫の問い合わせ窓口が分かるリンクページを掲載しておきますので、参考にしていただければと思います。
参考URL:日本政策金融公庫の問い合わせ窓口
ちなみに、年金担保貸付を申し込んでから融資を受けるまでの期間は「概ね4週間程度」と、とても長い期間がかかります。

したがって、急ぎの資金を用意する借入方法としては正直不向きです。

また、毎月融資が行われる日は原則月3回と決められています。

そのため、一般的なカードローンのように「申し込みしたその日に融資を受ける」ということもできません。

さらに、年金担保融資の借入金の残高があるうちは、追加借り入れもできませんので、正直なところ利便性という意味では非常に借りにくいローンと言えるかもしれません。

返済方法

次に、年金担保貸付制度の返済方法についてです。

通常のローンであれば、毎月口座引き落としで返済をしたり、ATMから毎月返済をするのが一般的です。

しかし、独立行政法人福祉医療機構の年金担保貸付の場合は、返済期間が始まるとローン申込者の年金から返済予定額を差し引いて、残りを年金受給者に支給するという方法で返済が行われます。

ちなみに、1回の定額返済額の上限は年金支給額の1/3以下となり、また下限金額は1万円以上という条件が付きます。

年金担保融資を利用するうえでのリスク

以上のように、非常に低金利で借りることができる年金担保融資なのですが、メリットが多い一方でいくつかのリスクもあります。

将来もらえる年金が減るリスク

一つ目のリスクは、将来の年金が減るというリスクです。

先ほどお伝えした通り、年金担保融資の返済は、将来の年金から天引きされるような方式で返済が行われます。

例えば、毎月の年金が15万円で、返済額が3万円で設定している場合は、毎月の年金支給額は「12万円」という事になります。

その為、安易に年金担保融資を利用していると、将来もらえる年金が減ることになりますので、益々生活苦に陥ることがあるリスクが発生します。

年金担保融資は、将来もらえる年金を担保にしてお金を借りる制度ですので、審査条件が一般のカードローンなどに比べて若干甘い傾向があります。

しかし、早めに返済しないと年金は減ったままになりますので、とても注意が必要です。

自己破産の免責は認められない

また、一般的なカードローンの場合は、万一返済が出来なかった場合「任意整理」や「自己破産」で借金を減免してもらったり、免責で借金を帳消しにしてもらう事ができます。

しかし、年金担保融資の場合は、自分がもらうべき年金を担保としていますので、もし自己破産をしたとしても、年金の支給額から返済が自動的に行われ、免責も認めてもらう事は出来ません。

また、任意整理のように将来払うべき利息を引き直して、総支払金額を抑えるような事も出来ませんので、注意が必要です。

連帯保証人に迷惑がかかる

先ほど、年金担保融資には連帯保証人の設定が必要…ということをお伝えしました。

したがって、万一年金担保融資の返済を滞らせた場合は、代わりに連帯保証人が借金返済をしないといけませんので、何らかの事情で年金が減る事などにより返済が難しくなった場合は、連帯保証人に迷惑がかかってしまう事になります。

年金受給者を対象にしたその他の借り入れ方法、消費金融は危険?

上記でも触れましたが、年金担保融資を申し込むには少々面倒な手続きが必要になるため、すぐにお金が必要な場合は、年金担保融資以外の借り入れ方法も検討しておく必要があります。

安心できる消費金融もある

まず、年金担保融資以外の借り入れ方法として、一般的な消費者金融での借入が挙げられます。

ただし、大手消費者金融のほとんどは、年金受給者はローンが利用できないことになっていますので、高齢者で年金を受けている人の場合は、中小の消費者金融を利用する方が無難です。

ただし、中小の消費者金融の場合は審査が比較的甘いというメリットがある一方で、限度額が少ないというデメリットもありますので、多額の借入を希望している場合は不向きです。

闇金には注意!

一方、年金受給者にも審査なしで融資をしてくれるという広告もよく見かけます。

ただし、このような審査なしで融資をしてくれる業者は、ほぼ闇金かソフト闇金であるケースが多いので、絶対に利用してはいけません。

このような闇金業者は、最初は優しい顔をしてお金を貸してくれますが、返済をしようとしてもその返済を拒み、その一方でどんどん利息を膨らませるという方法で利用者を追い込んでいきます。

そもそも、このような業者には法律などは関係ありませんので、一度返済を滞らせると自宅はもちろん子供や仕事の関係先まで取り立てに行きますので、くれぐれも利用しないようにしましょう。

個人間融資も闇金の可能性大

また、ネットなどを見ていると「個人間融資」というサイトをよく見かけます。

一見すると、親切な人が個人相手に融資をしてくれるような感じに見えますが、実はこの個人間融資にも闇金業者が潜んでいる場合があります。

場合によっては、融資の為の手数料を取られて実際にはお金を貸してもらえなかったり、振り込め詐欺に使う為の口座の買取を持ち掛けられたりする事もあり得ます。

年金担保貸付制度は平成34年3月末で受付終了

なお、ここまでご紹介した年金担保融資の制度についてですが、実は平成22年12月の閣議決定により平成34年3月末の受付をもって終了することが決定しています。

今後は、社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付制度を利用するようになりますので、詳しくは下記参考URLから概要をご確認いただければと思います。
参考URL:年金担保貸付をご利用の皆様へ重要なお知らせ

年金担保融資のまとめ

今回は、年金担保融資制度について、いくつかの情報をお伝えしました。

冒頭でもお伝えした通り、現在の高齢者の生活は決して楽とは言えません。

また、今回の記事でもお伝えした通り、年金受給者が利用できる融資制度には限りがあり、年金担保融資にも様々なリスクがある事はご理解頂けたかと思います。

将来、お金に困る老後生活を送らなくてもいいように、年金受給者になるまでにはしっかりと貯金をしておき、また年金受給者になった後でも、できるだけ健康で働き続けることができるように、今から準備をしていくことが大事なのかもしれませんね。